「引きこもりはやめたほうがいい」
そんなこと、頭では分かっています。
「昼夜逆転を直したほうがいい」
そんなこと、頭では分かっています。
「運動したほうがいい」
そんなこと、頭では分かっています。
でも、できないんです。
頭では分かっているけどできないのが、引きこもりの子供なんです。
もちろん、引きこもりの子供だけではありませんよ。これを読んでいるあなたも、頭では「こう変わったほうがいい」と分かっているけどできないことがあるはずです。
人間は、頭で分かるだけで変われる生き物では無いんですね。
でも、“心”で分かってしまうと、驚くほど変われてしまうのも人間です。
昔、私は、ある人と出会い、心を動かされました。その人は、私が話すことを何でも否定せずに聴いてくれて、いつでも優しいのです。それは、信じられないくらいの優しさで、最初は「何か裏があるんじゃないか…」と疑ってしまうほどでした。
でも、その人は純粋に優しい人で、思いやりがあって、他人を丸ごと受け入れる力が本当にあったのです。その人に出会ってから、私は“心”で分かってしまいました。
「人間として成長することは、こんなにも素晴らしいものなんだ!」
と。
それから、私も急激に変わりました。
まわりからはなぜか、「最近、大人っぽくなったね」と言われるようになり、叔父からは「前は、お前は目がオドオドしてた。でも、今はしっかりした目をしてる」と言われまし た。
人は、“心”で大切なことが分かってしまうと、あっという間に変わってしまうのです。
ですから、引きこもりの子供を持つ親御さんは、お子さんに“心”で大切なことを伝えることが重要です。
説教・お小言・説得・アドバイス…など、言葉でなんとかしようとするのは、頭で分からせようとする行為です。そうではなく、親御さん自身の“あり方”で子供を感動させれば、嫌でも子供は変わってしまうものなのです。
先に述べた私が出会った人のように、「この人にはかなわない…」と思うほど親が人間的に成長すれば、子供は親の“あり方”を通して“心”で学びます。そして、その“心の理解”によって、あっという間に変わっていきます。積極的になったり、強くなったり、前向きになったり…。
私が「親の変化」を大事にしているのは、以上のような理由もあるのです。