人間には豊かな想像力があるものです。
その想像力のおかげで、新しいものを作り出せたり、危険を免れたり、さまざまなメリットを得ているのですが…
時には、その想像力を好ましくない方向に使ってしまうこともあります。
その1つの例として、
「引きこもり対応での親の想像力」
もあります。
引きこもり相談を行なっていると、ときどき、想像力がたいへん豊かな親御さんと出会うことがあります。「よく、そこまで思いつくなぁ」と感心するほど素晴らしい想像力で、不幸な未来を語ってくださるのです(笑)
「このまま子供がひきこもったままで50歳になって、私も働けなくなったら、その先どうしていいか分からなくなるでしょうから……」
と延々と語ってくださるのですが、それが全て想像なのです。
「お子さんが50歳になるまで、あと数十年ありますよ。数十年もあれば、なんとかなると思うのですが…」
と言いたくなるのですが、もちろん、カウンセリングの場合は何も言いません。そういう豊かな想像上のストーリーを語りつくして吐き出してもらうことで、親御さん自身がふと冷静になり、親御さん自身で「そんなに悲観的になる必要ないかも」と気づきますので、何も言わずウンウンと聴きます。
話を元に戻しますが、前述の親御さんのように豊かな想像力で勝手に不幸になっている方が多いんですよね。程度の差はありますが、どの親御さんも多かれ少なかれ豊かな想像力を使って自分自身の不安感を高めています。
そして、その不安感を解消するために、子供・夫(妻)をコントロールしようとします。
「子供がこうなってくれたら私の不安が解消される」
「夫(妻)がこうなってくれたら私の不安が解消される」
というふうに考えて、自分以外を動かそうとするのです。
人は、誰かにコントロールされそうになると、自分のことを否定されたように感じるものです。コントロールされそうになった子供・夫(妻)は、「変わったほうがいいのはそっちだ!」と反発するか、「はいはい、どうせ私はダメな奴ですよ…」と自己否定感を強めるか、いずれかでしょう。
いいことは、何もありません。
こうして引きこもりを直接的または間接的に悪化させているケースが大変多いのです。
豊かな想像力を引きこもり悪化に使わないようにしましょう。勝手に不幸な未来を想像するのはやめ、自分の不安感を高めないように気をつけましょう。
そうすることで親も子もまわりもラクになり、引きこもり改善の方向へ進むことができます。
Yuuichi Kimura / SIA Project
※SIA Projectでは、長年、不登校サポートを行なっています。不登校サポートの過程で有効だった引きこもり脱出ノウハウの一部をこのサイトでご紹介することにしました。不登校サポートでの実績をご覧になりたい方は下記のサイトをご覧ください。